シナジスについて知る

監修:
北海道大学病院 周産母子センター
診療教授
長 和俊先生

シナジスとは?

シナジスって?

RSウイルス感染症には有効な治療薬がないため、「かからないように予防する」ことがもっとも大切になります。
赤ちゃんに触れるときには、手をきれいにあらう、抗体*をたくさん含む母乳をあげるなどの対策のほか、RSウイルス感染症の重症化を抑制する注射薬「シナジス」が使用されています。
シナジスは、体内でRSウイルスと戦うガードマンのような役割を担っています。
*抗体:免疫の中心的役割を担っているタンパク質で、細菌やウイルスに結びつき、感染を防ぐはたらきをします。

シナジスのはたらき

人は、身体にウイルスなどの異物が侵入してきたときに、それを攻撃し自分の身体を守る“免疫システム”をもっています。
その中心的役割を担っているのが“抗体”です。
“抗体”は、抗原(抗体に対してウイルスや細菌などの異物を抗原という)が侵入してきたときに体内でつくられるたん白質で、ウイルスに結びつき、ウイルスが体内で増殖するのを防ぐ働きをします。

大人では、ウイルスが身体に侵入しても“免疫システム”がはたらき、ウイルスの増殖を防ぐしくみが備わっていますが、“免疫システム”のはたらきが未発達な乳幼児では、この力が弱いため、同じウイルスに感染しても重症化することがあります。
シナジスは、RSウイルスに結びつく“抗体”としてはたらき、RSウイルスの増殖を防ぐことにより、RSウイルス感染症から赤ちゃんを守ります。

注射の対象と注射前の注意点

シナジス注射が保険適用となる対象は、RSウイルス感染流行初期において、
・在胎期間(お母さんのお腹の中にいた期間)が28週以下の早産で、12ヵ月齢以下の新生児および乳児
・在胎期間が29週〜35週の早産で、6ヵ月齢以下の新生児および乳児
・過去6ヵ月以内に気管支肺異形成症(BPD)の治療を受けた、24ヵ月齢以下の新生児、乳児および幼児
・24ヵ月齢以下の血行動態に異常のある先天性心疾患(CHD)の新生児、乳児および幼児
・24ヵ月齢以下の免疫不全を伴う新生児,乳児および幼児
・24ヵ月齢以下のダウン症候群の新生児,乳児および幼児
です。
なお、以前にシナジスの注射を受けて、過敏症状(冷や汗、全身のじんましん、吐き気やおう吐、声がでにくくなる、息が苦しくなる、顔が青ざめる)がみられたことがある赤ちゃんは、この注射を受けることができません。
また、以下の点について当てはまることがある場合には、注射の前にあらかじめ医師に申し出てください。
・生後から今までに出血傾向(血小板減少症など)があるといわれたことがある。
・生後から今までにけいれんを起こしたことがある。
・予防接種や注射、飲み薬の服用のあと、発疹やじんましんなどのアレルギー症状がみられたことがある。
・ガンマグロブリンなどのほかの抗体医薬品の投与を受けたことがある。
・現在、血液の凝固を抑える薬を投与されている。
・現在、急性感染症や発熱性疾患にかかっている。
・現在、RSウイルス感染症にかかっている。
※ほかに注射を受けていたり、薬を飲むように指示されている場合は、薬局などで買った薬も含めて全て医師に伝えてください。

シナジスの注射方法

シナジスは、大腿前外側部(だいたいぜんがいそくぶ:太ももの前側の外側寄り)に筋肉注射します。
注射するシナジスの量はお子さんの体重に応じて決められ、注射量が1mLを超える場合は、2ヵ所に分けて投与します。

シナジスは、RSウイルスの流行期間に月1回の注射を継続して行います。
1回目の注射は、流行開始前に受けると効果的です。
注射の効果は、約1ヵ月間持続します。
そのため、RSウイルス流行期間中は、月1回の注射を継続して行い、その効果を維持するようにします。

シナジスの副作用

注射後、発熱がみられることがあります。ほかに、
・発疹
・肝機能異常
・おなかの調子が悪くなる
・咳や鼻水などの呼吸器症状
などの症状があらわれることがあります。
※日本国内において、シナジスの投与後6年間追跡調査をおこなった結果、筋拘縮症の発現は認められませんでした。(筋拘縮症:主に乳児期の筋肉注射などにより、筋肉組織が破壊され、しこりや陥没がみられ、運動機能に障害が起こる状態)

<重大な副作用> 次のような症状に気づいたらすぐに医師に申し出てください。
【ショック、アナフィラキシー】
アナフィラキシーとは、注射後約30分以内に起こる強いアレルギー反応のことで

・冷や汗 ・息が苦しくなる ・声が出にくくなる
・吐き気やおう吐 ・全身のじんましん ・顔が青ざめる


などの症状に続き、ショック状態になるようなはげしい全身反応です。

このほかにも、注射の後で気になる症状がある場合には、必ず医師にご相談ください。